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春夏秋冬四季それぞれに心和ませる山野草
山野草は難しくない
コマクサ
皆さんは、山野草と聞いてどんな花を思い浮かべますか?
また、山に咲いている山野草を見たことがありますか?
山野草という名前には、可憐、幽玄、孤高、はかなさなどの他に、
山野草を栽培するのは難しそうだというイメージがあるのでは
ないでしょうか。
最近でこそ、街の園芸店やホームセンターでも
ガーデニングコーナーの一角に山野草のコーナーを設けて、
少しは目にするようになりましたが、それでも、まだまだ簡単に
いろいろな山野草が入手できるという状況ではないようです。
全国に山野草の会はたくさんありますが、特殊な会を除いて、
そのほとんどの山野草の会で、実は女性の会員が男性会員数を上回っています。
つまり、会長さんは男性でも山野草栽培の愛好家のメインは女性だということです。
どうです、意外な感じがしませんか。
最初は色とりどりの華やかな園芸植物に魅せられて、
ガーデニングのとりこになった女性は、何年かやっているうちに、
園芸植物に物足りなさや飽きを感じるようになってきます。
そして、まるで救いを求めるかのように山野草の世界に入ってくるのです。
女性に限らず、こういった形で山野草に「はまる」人は意外に多いようです。
そんな山野草の魅力って何でしょうか?
なんといっても、山の林の中や林辺に咲く山野草たちは決して出しゃばりません。
自分の領域を守ってひっそりと静かに咲いています。
ある山野草は花が咲き終わると、1ヶ月もたつかたたないうちに、
地上部の茎葉もろとも跡形もなく消え失せてしまいます。
こういう密やかなはかなさも心を惹く要因になっているのでしょうか。
春・夏・秋・冬、四季それぞれに山野草だって花の色は千差万別です。
でも、山野草の花の色はどぎつかったり派手だったりということはありません。
くっきりとした山吹色の花でも、花の大きさが小さめだったりして調和がとれています。
山野草の花の色は見ていると何か心が和むような自然の風景に溶け込んでいて
落ち着いた色が多いと思いませんか。
園芸植物に飽き足らなくなって山野草の世界に入ってきた人たちは、
そういった花の色にも惹かれる面があるのではないでしょうか。
また、秋ともなると寄せ植えなどで、枯れた葉が侘びしげに風にそよぐ様は、
一幅の水墨画の世界ともいえるほどです。
山野草の多くは日陰を好みます。
日向は人間の手では簡単に作ることはできませんが、日陰ならいかようにも作ることは可能です。
「日陰でも趣味の園芸」でもいっていますように、ガーデニングをやりたくても、
日の当たる場所がなくて困っている人たちにとって、
山野草のこの特性は願ってもないことではないでしょうか。
イチリンソウ

山野草の栽培は難しいか?
全然そんなことはありません。
一般の園芸植物と何も変わることはないのです。
植え替え、水やり、施肥、それに栽培する場所の
選定など、園芸植物も山野草もやることは一緒です。
山野草は品種改良の手が加わっていない、自然状態のままのものが多いので、
弱々しいイメージでもあるのでしょうか。
自生しているのを見て、育ててみようと採取してきた山野草が、
何かの原因でうまく育たなかった経験でもあるのでしょうか。
大事な根を途中で切って持ち帰ったのかもしれません。
植物は何でも陽当たりが一番と考えて、よく陽の当たる場所で栽培して、
枯らしてしまったことがあるのかもしれません。
◆植え替え・用土
山野草の植え替えは、春先と秋に集中します。これも園芸植物と一緒ですね。
用土は、園芸植物でも混合したものを売っていますが、
山野草も数種類の土をブレンドしたいろいろな「山野草用土」が店頭に並んでいます。
自分で山野草の土を作るときは、地域によって採れる土が違うため
多少変わってきますが、関東圏でしたら鹿沼土が中心になります。
それに、赤玉土や軽石などを混ぜて作ります。
赤玉土は水持ちがよく、湿地性や水分を好む山野草には多めに混ぜて使います。
一般的には、鹿沼土3、赤玉土1、軽石1くらいの割合でブレンドすれば、
多くの山野草に使うことができます。
その際、できれば2、3o目のフルイでミジン(細か過ぎる砂)を取り除いて
使用すると最高です。
なお、大事な山野草には、鹿沼土、赤玉土ともに土の形が崩れにくい
「硬質」タイプをおすすめします。
山野草の中には、水はけのよい用土を好むものが多いので、
栽培に使う培養土は非常に重要になってきます。
山野草は比較的涼しく、山の斜面などの水はけのよい環境で自生しているため、
平地の蒸し暑い環境におかれたり、水はけの悪い用土で植えられたりすると、
うまく育たない原因となってしまうのです。
また、腐葉土は夏場に鉢の中が蒸れて害を及ぼしますので、
寒い地域以外では原則として使いません。
植え替えはできれば毎年行います。
特に根の成長が早い、ヒメシャガ、オキナグサ、サクラソウ、トキソウ、ウチョウラン、
カラマツソウ、サワギキョウ、ショウマ類、イワシャジン、ナデシコ、フウロソウ、
野生ギクなどの山野草は、毎年植え替えてやるとご機嫌に育ってくれます。
その他の山野草も、2、3年に1回は植え替えてやるようにします。
◆水やり
水やりは鉢の表面が乾いたら、鉢の底から流れ出るほどたっぷりと与えます。
これも園芸植物と一緒です。
水やりのサイクルには個人差があります。陽当たり、風当たりの違いもあります。
当然、条件によっては、鉢の乾き方も違ってきます。
よく乾く場所や鉢で栽培するときは、用土を配合するときに、赤玉土を多めに
ブレンドすると水持ちがよくなります。
◆肥 料
山野草は肥料が大好きです、というとビックリする人がいるかもしれません。
自然に自生する山野草は、腐葉土の中に植わっている、といっても過言ではありません。
落ち葉が微生物に分解されてできた腐葉土の含有する肥料分はごく僅かです。
しかし、根が活動している間中、常に微量な肥料分を供給し続けてもらっているわけです。
キクザキイチゲ
キクザキイチゲという、春先に落葉樹林の林縁などに
咲き乱れる花で、キンポウゲ科の可憐な山野草があります。
林の中では、春先になれば毎年にぎやかに白や薄紫の花を
咲き競います。
しかし、鉢で栽培しようとすると、葉は出るもののなかなか
花をつけてくれません。
キクザキイチゲは5月中には地上部が枯れてなくなりますが、
葉のある期間中と根が動き出す9月頃から肥料を頻繁に施してやると、
根茎も太くなって花のつき方がぐんとよくなります。
このことからも、自然に生育する山野草たちにとって、微量とはいえ、
腐葉土の栄養分が常に効いている肥料効果はバカにできないのです。
そうかといって、すべての山野草に人間の手で頻繁に肥料をやっていると、
花つきはよくなるかもしれませんが、背が高く大きくなりすぎてしまいます。
山野草は可憐さや自然味に溢れた雰囲気が大きな魅力です。
巨大になってしまったら、つまらない草花でしかなくなってしまいます。
肥料の使い方には充分気をつけなければいけません。
山野草の場合、液肥であれば必ず2千倍から1万倍くらいと、
ごくごく薄目にして与えすぎないように注意します。
山野草の栽培は、このように園芸植物の管理と大差がないことがお分かりでしょうか。
しいていえば、できるだけ風通しのよい涼しい場所で栽培することと、
植える用土は鹿沼土、赤玉土、軽石などの団粒構造になったものを使い、
少しでも水はけのよい状態を保つことに注意してやればだいじょうぶです。
あなたの園芸レシピに、日本の”わびさび”にも通ずる山野草を加えることによって、
ガーデニングの面白さが倍加することでしょう。
思い切って山野草にもチャレンジしてみませんか。
  
(左から、 ハクサンフウ、 ゴゼンタチバナ、トリカブト、ミヤマオダマキ)
*注意!!
山野草の採取を禁止する山や場所が増えています。
国定公園に指定されている山では、全面的に採取は禁止されています。
それ以外の山は村や個人の所有する山です。
本来、何であれ持ち出すことはできません。
ほしい山野草があっても、堀り採って持ち帰ったりせず、
山でのあるがままの可憐な姿で観賞を楽しむことにしましょう。
各地の山野草店で、苗を買い求めることもできますし(ただし、意外に種類が少ない)、
インターネットや雑誌の通信販売でもいろいろな種類の山野草を取り寄せることができます。
山野草のリンク集では、インターネットで山野草を手に入れられる業者も紹介してあります。
少し自信のある方は、種から育てることも面白いものです。
いろんな山野草の種を専門に扱っているところがありますので、
興味のある方は、リンク集を参考にしてください。
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